今回はこの仕事に置いてはんだこての次に欠かせないフラックスの紹介をしていきます。
はんだこてに付いては前回の記事を参照して下さい。
まずは簡単にフラックスの役割に付いて説明したいと思います。
フラックスとは何か?
フラックスは、はんだ付け作業において使用される化学物質であり、主にはんだ付けの際に金属表面を清浄化し、酸化物を除去し、はんだの流れを促進します。フラックスにはペースト状や液状、ジェル状などさまざまな形態があり、用途に応じて選択することが重要です。
フラックスの役割
- 表面の清浄化と酸化物除去: 電子部品や基板の表面は酸化していることがあり、これによってはんだ付けの際に不良が生じる可能性があります。フラックスはこれらの酸化物を除去し、清浄な表面を作る役割を果たします。
- はんだの流れの促進: フラックスははんだの表面張力を低下させ、はんだが素材間を効果的に流れるのを助けます。これによって、均一な接合と信頼性の高いはんだ付けを実現します。
- 酸化の防止: はんだ付け作業中に生じる高温環境では、金属表面が酸化するリスクが高まります。フラックスは酸素との反応を防ぎ、酸化を最小限に抑えます。
簡単に説明させて頂きましたが詳しい内容はフラックスを販売してるサイトなどをご参考ください。
仕事で使ってるフラックス紹介
ジェルタイプ
画像の下から3つはジェルタイプで、下から2つはシリンジタイプのジェルフラックスです。シリンジタイプのジェルフラックスは一般的で、手軽に塗布できるため、手が汚れることが少なく、非常に便利です。シリンジタイプを購入すると、通常は安価なプラスチック製の押し出し用の棒が付属していますが、これによって指が痛くなることがあります。そのため、見た目だけでなく使い勝手も考慮して、金属製の押し出し棒を購入することにしました。初めて使ってみると、指の痛みは解消されましたが、気温の影響でフラックスが硬くなることがあり、力を入れて押し出す必要があり、その結果手が震えてしまうことがありました。
次に試したのがレバータイプのツールです。これは適度にネジを回して棒の長さを調整する必要がありますが、軽い力でフラックスを押し出すことができるため、調整は比較的簡単です。他には、ネジを回して棒を押し出すタイプなど、さまざまなツールが存在します。
ペーストタイプ
上の容器に入ってるフラックスはジェルタイプでは無くペースト状になっていて爪楊枝や筆などで塗りつけて使います。これはこの仕事を始めるに当たっていろいろな修理業者さんのyoutube動画などを見ていて参考に買った品となっています。実際はシリンジタイプのジェルフラックスに慣れるとあまり使う機会が無くなってしまいました。
固形タイプ
四角い箱に入ってる黄色のフラックスは松ヤニで、これははんだづけに使うのでは無くペン型のツールで煙状にして故障した基板に塗布し、ショート部分を探す為に使っています。これはまた別の機会に紹介致します。
メインで使ってるフラックス
今メインで使ってるのは真ん中のおじさんマークで有名なmechanicさんのフラックスと、黄緑のレバーが付いてるフラックスです。下の3つは一応無洗浄タイプなのですが価格が安いタイプやあまり有名でないメーカーのフラックスは洗浄して使っています。mechanicさんは中国の電子機器修理の製品を販売している有名なメーカーさんなので信頼は高いです。因みに、このチューブタイプの無洗浄フラックスは量の割に高くなっています。
フラックスを使うとどれくらい違うの?
フラックスの有無による実例
電子工作を行う際には、フラックスとういう言葉は良く聞くと思います。市販のはんだ線にはフラックスが内包されており、基本的なはんだ付け作業においては、この内包されたフラックスで十分はんだ付けが可能です。
しかし、基板の状態が劣悪であったり、はんだ付けに慣れていない場合には、加熱しすぎることで内包されたフラックスが蒸発し、はんだの濡れが悪化することがあります。こうした状況では、外部からのフラックスの追加が必要です。下記の動画は、フラックスが不足した状態でヒートガンではんだを溶かした場合と、フラックスを適切に塗布してから温めた場合の実例を示しています。
フラックスが不足している状態では、はんだが融解しても流れが適切でなく、結束が難しいことがあります。しかし、フラックスを適切に塗布することで、はんだの流れが正常になり、表面張力によって綺麗な丸みを帯びた形状が形成されます。フラックスは表面張力を低下させる作用があると記されていますが、実際には表面張力は低減しまが、完全に消失するわけではなく、はんだの流れが良くなることで、僅かな表面張力でも望ましい形状に戻ることが可能となります。この現象を利用して、部品を適切な位置に自動的に配置する効果を”セルフアライメント効果”と称します。
フラックスを使ったセルフアライメント効果の実例
フラックス無し
フラックス無しだとパッドに付けたはんだが溶解しても部品の足になじまない為部品が引っ張られることはありません。この場合はピンセットなどで正常な位置に調整しなおかつ少し押しつけないとはんだの上に足が乗ってる状態になります。また、はんだが足に全く馴染んでいなのではんだ不良を起こしています。
フラックス有り
フラックスを塗布するとはんだが融解した瞬間部品の足にも馴染み表面張力によって部品がある程度引っ張られます。この引っ張られる力ははんだの量や左右のバランスなどによってもある程度違いますので最終的な位置決めはピンセットなどを使って調整しましょう。”基本足が伸びてる部品の押しつけは必要ないですが部品裏にGNDがあったり、足が無く部品にパッドが有るような製品はある程度の押しつけは必要です。”
フラックスを使ってはんだの量を適正にする
フラックスを使うとはんだを盛りすぎた場合の調整が簡単になります。大きめの部品ならはんだ線を少しずつ送れば問題無いですが1mm程度の多足の部品になるとはんだ線の送り方を少し間違えると簡単に盛りすぎになってしまいます。そんな場合でもフラックスを使えば簡単にはんだの量を修正することができます。
フラックス無し
フラックスが無い場合ははんだが部品側に残ってしまいこて先に流れていきません。ある程度はこて先に流れるのでがんばればはんだの量は調整できますが、フラックスが無いことによりはんだにつららができたりしてはんだ不良を起こしてしまいます。
フラックス有り
フラックスを塗布するとはんだがこて先にも流れ必要な量だけ部品側に残ります。またフラックスをしっかり使うことによって引きながら多足のはんだ付けを行うことができます。注意点は多足の間などにフラックスが残ったりする場合もあるので歯ブラシや筆などを使って足の下から書き出すようにして清掃しましょう。
フラックスの洗浄方法
フラックスの洗浄はIPAを使っています。Amazonなどで手頃な価格で売っているのでお勧めです。
IPAは無水エタノールと違って毒性がありますので、使用時は手袋を使うか綿棒などで間接的に触れましょう。心配な方や簡単な電子工作を楽しんでる方は薬局で手に入る無水エタノールや市販のフラックス除去剤をお勧め致します。洗浄はたっぷりと液剤を使ってしっかりと落としましょう。液剤をケチってしまうとフラックスが残ってしまい基板やはんだにダメージが残ってしまうので注意しましょう。
今回の動画は10mmの綿玉をピンセットでつまんでIPAをしみこませて除去しています。
まとめ
フラックスは絶対必要です。
電子工作に置いてフラックスは必要不可欠です。はんだこての紹介記事にて、こて先は重視してくださいと書きましたがフラックスをしっかり使ってこて先を良いのを使えばだいたい綺麗にできます。それぐらいはんだ付けに置いてのフラックスの重要度が高いです。
液体とジェルとペーストどれがいいの?
入手難度を考えると液体>ジェル=ペーストですが、Aliexpressなどで個人輸入に抵抗がない方はジェルタイプをお勧め致します。国内ですと液体タイプが多いですが液体タイプは蓋を閉じないと行けなかったり手間が多いですし、揮発しやすい為総合的な使い勝手はジェルタイプより劣ると思います。国産の液体タイプがダメな訳では無く、国産の液体タイプのフラックスは清掃がしやすかったり良い面もあります。
ペーストタイプに関しては保存がしやすいぐらいで自分はあまりメリットを感じません。
有名な方の使ってるのを買ってみる
自分が良くやってることなのですが最近はyoutubeなどで修理情報を公開してくれてる方が多数います。その中には使ってる道具を紹介してる方も居ますので、そういう所から入って行くのも良いかと思います。
紹介フラックスの購入リンク
MECHANIC TF350フラックス
シリンジ押し出し棒
Amaoe ハロゲンフリーフラックスオイル
IPA 480ml
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