プレイステーション、Nintendo Switch、Xboxなどに付属のコントローラーでアナログスティックを操作していないにも関わらず勝手に入力状態になることを”ドリフト”と言います。
コントローラーがドリフト状態になるとゲームのキャラが勝手に動いたり思った場所に動かせなかったりしてとてもストレスになります。

ドリフトの原因

ポテンションメーターの不具合

ポテンションメーターとはスティックの横に付いている部品で内部の黒い円が二つあります。この外周と内周がどの位置で繋がったかを検知して、コントローラーはスティックの倒れる方向や倒れてる角度を検知します。
ドリフトの原因の殆どはこれで摩耗による汚れや内部に溜まった汚れによって正常に電気信号が流れない為に起る場合が殆どです。汚れの場合は清掃によって直りますが長期間使うと摩耗によって中の金属が削れてしまい、その場合はポテンションメーターの交換となります。

スティック本体の不具合

スティック本体の軸が劣化によって緩んだ場合もドリフトは起ります。この場合は大きな不具合は少なくスティックを軽く逆方向に押したりすると収まったりします。これはポテンションメーターの不具合でも見られる不具合なので判別は付きにくいですが、スティックの軸が劣化した場合はスティック本体を交換となり少し作業が複雑になります。

今回はプレゼントキャンペーン用のDualSenseの修理作業となります。

動作チェック

今回は軽いドリフトで右斜め上に入力されてる状態です。少しスティックを戻すと少しだけ収まるのでスティックの不具合も考えられますがまずはポテンションメーターのチェックをしていきます。

修理の流れ

ポテンションメーターの交換

まず、DualSenseの基板を取り外すためにケーブル類を取り外していきます。DualSenseには、ロットによってアダプティブトリガーのモーター配線がフラットケーブルにまとめられているバージョンもありますが、今回はアダプティブトリガー用のモーターが別途配線されていますので、それらも取り外します。

取り外す際には、慎重に作業を進めることが大切です。誤った操作はコントローラーの故障や損傷を招く可能性がありますので、専門知識や経験を持つ技術者に依頼するか、十分な情報を得た上で行うことをお勧めします。作業中は注意して進め、配線や基板に負荷をかけないように心掛けてください。

基板を取り外した後、ポテンションメーターを確認したところ、わずかな傷があることが分かりましたので、それを取り外して新しいものと交換します。交換後も動作テストを行いましたが、残念ながら症状は改善されませんでした。そのため、次にスティック本体を交換してみることにします。

スティックの交換

もし自分でDualSenseの修理を行う場合は、低融点のはんだを用意することを強くお勧めします。DualSenseにはスティックの周りにプラスチックのコネクタが多く存在するため、ヒートガンを使用して温めるとコネクタにダメージが入ってしまう可能性があります。そのため、低融点のはんだを使用することで、コネクタを損傷するリスクを軽減できます。

また、スティック本体を取り外す前に、ポテンションメーターのみを取り外すと、交換作業がよりスムーズに進むことが期待できます。ポテンションメーターの取り外し後、スティック本体の交換を行ってください。

交換後、スティックを少し動かしてもしっかりと同じ位置に戻るようになりましたので、取り替え前の不具合はスティック本体の故障が原因だったようです。しかし、ポテンションメーターなどの個体差により、少しだけニュートラルからずれているようですので、これを修正していきます。

修正の為にポテンションメーターの抵抗値を補正していきます。DualSenseに抵抗値を自由に調整できる器具を繋いで補正する値を求めていきます。

10KΩで問題無い範囲のニュートラル位置になったので10KΩの抵抗を取り付けていきます。

再度確認後問題無く動作しているので内部清掃をして組み直していきます。

修理完了

今回はポテンションメーターを一度交換後スティック本体を再度交換したので1時間半ほどかかりました。

ポテンションメーターのみの交換ですとさほど難しく無いのですが、スティック交換になると固体によって各ピンが基板の穴にぎりぎりささっていたりしてはんだが綺麗に溶けていても取るのに苦労します。コントローラーの種類によっては高額な物から修理料金を考えると買い換えた方が良い場合などもありますので、まずは修理専門店に見積を出して貰うことをお勧め致します。