PlayStation 5（PS5）は、2020年11月12日に発売され、多くのゲーマーに愛用されています。特に発売直後から使用しているユーザーにとって、定期的なメンテナンスや清掃は重要なポイントです。ゲーム機の内部にはホコリやゴミが溜まりやすく、ファンの性能が低下することで、オーバーヒートや動作不良の原因になる可能性があります。使用頻度が高い方や、定期的な清掃を行っていない場合、冷却ファンやヒートシンクの清掃をする方が増えてるかと思います。ですがファンコネクタはかなり固めにささっており引き抜く際必ず基板側のコネクタを押さえてゆっくりと抜く必要があります。もしくは、清掃時にファンコネクタを抜かずそのまま清掃をした場合誤ってテンションをかけてしまって破損させるなど故障の相談が増えています。

修理の流れ

分解

今回はお客様がご自分で修理をされたところ起動はするがファンは全く回転しないとのことでした。

PS5のファンコネクタは筐体のカバーを空けるだけでアクセスできるのでこの部分だけで修理ができる場合はお安くできるようになっております。

コネクタを取り外したところ基板のパターンが取れた部分を削って下のレイヤーにはんだ付けしていたようです。

ファンコネクタの仕様

ファンコネクタの仕様は赤がファン駆動用の12Vライン、青がファンの回転制御のPWM、黄色がGNDで今回下の層が剥き出しになっていますがこちら全てGNDとなっております。

全てGNDにはんだづけして為大事にならなくて済みましたが12Vが他のラインに流れると大変な事になりますので注意してください。

パターンの修正準備

まず下地のGNDが出てますのでこのままパターンを修復するとショートしてしまいます。普段補修に使う硬化剤より強力な硬化剤を使って下地を隠します。下地を隠した後はしっかりとGNDと導通してないかチェックしておきます。次に銅箔をはんだにて接続するために各所のパターンのマスク(保護層)を削ります。GNDは次回の取外しの際に剥がれないように少し大きめにマージンを取ります。

パターンの修復

銅箔を使ってパターンを修復していきます。PWMのラインはだいたのお客様がビア(小さい丸)の部分だけ残ってることが殆どです。なので修復後力が掛かったりコネクタをはんだ付けする際にはんだが取れてしまわないように硬化剤を使って固定を兼ねて保護していきます。

後述しますが修復が終わった際に必ず各所のパターンをダイオードモードで数値を測定しておきます。

コネクタを取り付けた後も各ピンをダイオードモードで測定して必ず先程と同じ値かチェックします。

清掃と動作チェック

組み直す前に電動ブロワーを使って中の清掃をします。お客様の方で清掃はされてたみたいですがPS5かなり大きい筐体でヒートシンクも大きいです。エアダスターだと数本使わないと厳しいのが現状です。当店では電動ブロワーを使って清掃を行いますがこの汚れ具合でも数分ゴミが排出され続けました。

清掃完了後はテストプレイをしっかりとやってお客様にご返却となります。

作業自体は清掃やテストプレイを含め2時間ほどで完了しております。

ご自分で修理される方へ

最近、PS5の修理依頼の中で「ご自身でチャレンジして失敗した」というケースが増えています。特に、ファンコネクタの破損については、ソニーの公式修理対応が受けられないことが多いようです。さらに、PS5本体の値上がりもあり、少しでも安く修理を済ませようと自分で挑戦される方が増えているのではないかと思います。

私自身も過去にこういった挑戦を行い、現在の修理業務を始めるきっかけとなりました。挑戦すること自体は決して悪いことではないと思います。しかし、注意が必要な点もあります。今回のPS5のファンコネクタの修理において最も重要なのは、パターンの修復です。修復の際には、損傷したパターンをテスターで測定し、修復後に対応するピンが最初に測定した値と同じかどうか確認することが大切です。この値が異なっていた場合でも、電源を入れなければさらなる故障は防げます。そこから先は、ご自身のスキルに応じて対応可能ですが、確認を怠ると、取り返しのつかない故障につながることもあります。

また、YouTubeなどには多くの修理動画が上がっているので、いくつかの動画やサイトを参考にしてイメージトレーニングを行ってから挑戦することが成功の鍵となるでしょう。

さらに、道具に関してですが、最近の基板はGND面が非常に大きく、熱がすぐに逃げてしまうため、強力なハンダごてが必要です。高温が出せるだけでなく、低い温度でもすぐに回復できるレスポンスの良いハンダごてを使用すると、作業がスムーズになります。

私もX（旧Twitter）で投稿しましたが、コストパフォーマンスが良い安価な道具もありますが、基本的に高価な道具を購入することで作業効率が上がり、精神的にも楽になります。結果的に、良い道具を選ぶことは損にはなりません。